“soduk journal” vol.7
“2024 spring / summer collection [something about happiness]”
after talk #2

sodukからお届けしたいテーマや事柄を厳選して日記のように皆さんにお送りする、“soduk journal” (スドークジャーナル)。
第7回目も、2024 spring / summer collection “something about happiness” のアフタートークをお届けします。後半の今回はコレクションビジュアル制作についてのお話です。
今回のコレクションビジュアル制作はかなり盛りだくさんでした。
洋服をメインとしたルック、動画、そして、バストアップのポートレート。
その全ての作品において、自分だけのための小さな世界に対する肯定が大きなテーマとなり、細部で表現されています。

選んだモデルは3名。
ひとりは中性的な雰囲気のモデル。もうひとりは美大生の韓国人モデル。そして、もうひとりはミックスのモデル。
これまでは、洋服を綺麗に見せるためのモデルの身長や体型に対する基準がなんとなく存在していて、そんな既存のステレオタイプをもとにモデル選びをしなければいけないような空気感を感じていました。
でも、実際はみんなバックグラウンドが違って、みんな複雑に構成された、肯定されるべき、自分の世界で生きている。
なので今回は、そんな目には見えない、かもしれない、リアルな今の世界の多様性を表現できる人選をしました。
撮影場所は、インスピレーションの一つとなった映画「her / 世界でひとつの彼女」(2013 年、Spike Jonze監督)の質感を想起させるような白っぽい空間でありながら、プレイフルなクラフト感があり、3人のモデルに対してそれぞれ違う世界を表現できる場所として、
工藤の友人であるプロダクトデザイナーのTOSHIKIさん(@toshikistudio)の群馬県にあるアトリエを撮影場所として使用させてもらうことになりました。
スタイリングをお願いしたのは、前回に引き続き、MINAさん。
2024 spring / summer collectionは、ワークウェアをデザインソースにしているものなど、いつもよりカジュアルなアイテムが多いので、スニーカーではなく、ブーツやピンヒールといったレザーシューズと合わせることで、スタイリングにギャップを出しました。
他にも、ジャケットとホットパンツを合わせてワンピースにしたり、セットアップアイテムをセットアップで着ているルックがなかったりなど、
今回もすごくいい意味で、ちょっとした違和感が印象に残るスタイリングでした。
今回のルックビジュアルに添えられたディスクリプションを書き出したのは、AI。
ChatGPTを用いて、写真の中の状況を説明してもらいました。
コレクションメッセージでも紹介していたのですが、
ここですごく興味深かったのが、
AIを用いて被写体や情景について書き起こした文章中では、男性が女性と書かれたり、ロングヘアーがショートヘアーと書かれたりしたこと。
そこには、
彼らからしたら、わたしたちの生活は切り取られる瞬間でいかようにも書き換え可能であり、その認識に差異があるということ、そして、AIが自然に認知したことを思ったままに表現した結果であるという気づきがありました。
それは、わたしたち人間にも言えることで、
他者が自分を見ているのは、ほんの一瞬かもしれなくて、見る瞬間によって、いくらでも違う認識に変わる可能性があるし、
なにも知らない子供のように、なにもフィルターがかかっていない純粋な感性で世界を見てみたら、そこには違う世界が広がっているかもしれません。
この気づきは自分だけのための小さな世界で自分を愛すためのヒントとして、わたしたちがAIから学べることでした。
今回の動画では、インスピレーションとなった映画「her / 世界でひとつの彼女」(2013 年、Spike Jonze監督)に登場するバーチャル世界に存在する人格を彷彿とさせるような演出として、ひとが画面の中に入ったり、出たり、両方に存在したり、バーチャル世界と現実を行き来しているような演出もしました。

最後に紹介するのはバストアップのポートレートについて。
昔から、日本の学校の卒業アルバムやアメリカの学校のイヤーブックのような写真集に違和感をおぼえていたという工藤。
全員参加でみんな斜めを向いてニコッとする。
なんだかわざと自分らしさを消し去っているみたい。
これってなんか、均一化の象徴なのでは?
そんなイヤーブックを2024 spring / summer collectionでは、sodukらしく作り直してみました。
格好も、表情も、ポーズもぜんぶ自由に。
これは裏話ですが、この撮影にあたって、ヘアメイクの完成イメージを入念に用意していたという訳ではなく、実はかなり即興で生み出されたクリエーション。
TOSHIKIさんのアトリエにあった小物も組み合わせながらヘッドピースのような装飾を創って、ヘアのTomihiro Konoさんがそれをヘアに組み込んでいき、メイクのdunda UMEOさんもメイクをどんどん変化させて、
1つ1つスタイルを作っては撮影、を繰り返して制作された作品です。
工藤自身もここまで力強いルックになるとは想像していなかったのですが、
結果として、洋服は関係なく、個人を祝福するようなポートレートビジュアルが出来上がりました。
次回は、“we make soduk wear!”第2弾!2024 spring / summer collectionのニットアイテムについて書いていこうと思います。おたのしみに!